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もしかして発達グレー研究所~凸凹ハートの幸せを考えるブログ by QOLT

なじめない、生きにくい。そんな子達の青い鳥ドコー?志村!後ろ後ろ!

【質問箱24-2】逆張り、勝てないとイライラ小学生男子【ゲームに負けたくない】

前回の続きです。


ゲームとルールの調整

ゲームに関する工夫は、ゲーム療育という名前でいろいろ知られています。一般的には
①負けたほうが報酬が得られるルール
②潔さを評価するルール
を取り入れることが多いです。


①ゲームのルールを負けるが勝ちにして、負けた子を報奨する

負けたほうが面白いようにできているゲームなんてのも売られています。

学校で取り入れられがちな例としては、先生とのじゃんけん大会があります。
1列に並び、勝ったらハイタッチで終わり。負けあいこは、並び直して何度でも挑戦可。諦めなければ、そのうち勝てる。最後のほうで勝った子は、何度もチャレンジした子として誇りをもたせる。負けを強さにつなげ、勝負には運もあると腹落ちさせる。みたいなのをなさる先生もいらっしゃいます。
これはフェイズによると思う。そもそも並ぶのか、って話だし。

何位を優勝とするかをゲームリーダーが決めて書いて封筒に入れておくという手もあります。

が、そういう小手先の時間稼ぎテクは巷に溢れてるので…ここでは割愛(ボードゲームの広告でも入れたら小銭が稼げるが、はっきり言ってボドゲは合う合わないがありすぎるし、合いすぎると暴れるので難しいんだよ)。 


②普段絶対しない、勝ちを譲る行為や潔さを最高評価とする。

これはまぁ、話の通じる子ならおすすめ。

①、②のような手法はTOSSやフォレスタネットなど学校の先生向け授業準備サイトで見ることができます(ちなみに当ブログ初期の記事はフォレスタネットでも読めます)。


逆張り高IQにはスタンダードは通用しない

さてここから本題。

逆張り高IQ系で癇の強い子だと、多数派に人気のやり方はなかなかうまく行かないかもね。

ルールをアレンジしても受け入れないし、なんなら自分でルール変えちゃうし、ダメ出しされると泣いたり暴れたり、みたいな。

こっちの意図見透かしてくるし、かといって意図を説明しても必要性がわからない。

物欲も弱すぎたり、強すぎたりで、ご褒美あげるのも難しい。
「やだ。なんでそんなルールでやんなきゃいけないの!」
「そんなご褒美いらない!」
で癇癪起こすケースもある。


おばちゃんならどうすっかね。

③勝ち負けを短時間で超高速で繰り返すゲームにハマらせる

これを実験的に取り入れますかね…もっと様子を詳しく知らないと、迂闊には提案できないけども。

③勝ち負けが一瞬で決まるが、すぐに次をやらねばならない系のゲームにハマらせるんです。

勝ってるんだか負けてるんだかわからないけどまぁなんかわちゃわちゃ楽しいやつ。おばちゃんはこれが汎用性が高いかも、と思います。話の通じない子でもなんとかなる。まぁすぐにどうって話じゃないけどね。

普遍性、連続性を好む子にお試しさせるには「実験的に」

「試しに」「とりあえず」
みたいな言葉をお使いの親御さんは多いと思います。

有効なフェイズもあるのですが、実は、ASDみがあって連続性や普遍性を好むフェイズだと、この言葉ではこちらの提案にのってくれなくなっていきます。

「試しに」
「とりあえず」
も、始めたものをやめるというのがとっても不安、っていう心理を無視して使ってしまった記憶と結びつきやすい言葉だからです。

習い事とか学校とか受験とかもね、合わないなら辞めればいいのに、同一性の保持にこだわる系の子は、やめたがらない。そして、こじらせることもあります。
こういう子に
「自由と権利」
を与えると、やりたいことしかしない。こうしてどんどん安心できる世界が狭くなっていくので気をつけて。


やめた子が目の前から消えた不安に起因するのか、レールから降りるのが不安なのか、やめたあとの自分がどうなるのかわからなくて不安なのか、
「じゃあやめたら?」
「やめていいよ」
という親御さんの言葉を深読みしすぎて煽りのNo!だと思ってるのか、よくわかんないんだけど、やめたがらない病みたいなのよくあるのよ。


試しに…とりあえず…という言葉に乗ってこない子でも、
「実験的に」
って声掛けは効くことがあるんです。

エジソンやキュリー夫人あたりの話を知ってると、実験においては
「失敗は成功のもと」
という言葉を原理原則化していることが多いのかもね。

効くと便利すぎて飽きるまで使っちゃいがちなので、できれば高学年までとっておきたいけどね。
長く使うためには、実験的に、と誘って始めさせたことについては、やめたがったら、意思を尊重してあげるみたいな配慮はしてもよいでしょう。

ひっぱたきじゃんけん実験

そこまで深く考えながら育てるのめんどくさいよね。
うーん、もっと詳しくお話聞かないと言い切れないけど、ひっぱたきじゃんけんか、あっち向いてホイとか、実験してみたいかな。

ひっぱたきじゃんけんは、超高速で勝ち負けを繰り返す系のゲームです。
ルール上は、利き手でじゃんけん。利き手の反対の手は繋ぎ合う。勝ったら利き手の反対の甲ひっぱたく、負けたら手の甲叩かれないようにサッと利き手の手のひらで反対の手の甲をガードするの。

「は?そんなの暴力性が高まるだけでしょ?」
 「やめられなくなったら困ります」
と思われるかもしれません、そう、おっしゃる通り。誰にでも通用する手法じゃどうにもならないから界隈なんだわ。
見立てした上で、賭けだよ。


負けたのにひっぱたいちゃった、勝ったのにひっぱたかれちゃった、みたいなトラブルがしばらく続きますので、じゃんけんに負けたのに間違えて相手を叩いたときは、ペナルティとして叩かれるターンを設けます(ASDとADHDで対戦すると、ルールに則ろうとするASDがずっと叩かれがちなのできょうだいでやらせるときは気をつけてね)。

だけど、このゲームの特徴は、負けの刺激も結構強い。
ゲームに慣れていくうちに、勝ちの刺激と負けの刺激が均衡して、勝っても負けてもハイになるフェイズがわりと来やすいのが、このゲームの特徴です。

そこで、負けるの嫌なら辞めたら、ってささやいてみるの。いや負けても楽しい、って誘導尋問にひっかかれば、ヨッシャてなもん。その時点で、なんとなく
「勝ち負け関係なくゲームを楽しむ」
という感覚を理解してくれる子がいる、ってだけ。

ひょっとしたら、ひっぱたきじゃんけんにどハマリしたせいで報酬系がバグった!!!!!ってクレームが来るかもしれない。誰にでも通用することなんておばちゃんは一度も書いたことない。悪しからず。飽くまでも実験、自己責任でね。


思考のためのメモリを確保して、不利益に気付かせる

普遍的に通用するのは、
・人生経験を経て感情の器がデカくなる
・感情の器に常に入ってるゴチャゴチャモヤモヤを減らしておく
でしょうね。

感情のコントロールをさせましょう!って、まあまあ無理言うよね。親御さんだって、先生だって、できてる人のほうが少ないでしょ。子供なら出来るとでも思ってるのまじウケる。出来ねーよ。


感情コントロールはまだできなくて当たり前、なんだかんだやってみようや〜、ってかんじならともかく、できて当たり前みたいな無理ゲーやりたくないよ。


特に、脳がデカくて感情が強く出る子だと、ブレーキもハンドルも面舵いっぱーーーーーい!!!!錨を降ろせーーーーー!!!!みたいな感じじゃん。
脳みその中を片付けることからやってみて、時間かけてなんだかんだやってくってのが現実的。

気持ちは揺れ動くし、コントロールしきれないことだってある。感情を爆発させないとわかってくれない相手もいるじゃん?必要悪ではあるんだよな。

ただ頻度とか、いい人まで逃げていくこととか、自己嫌悪とかがね。だから感情コントロールしろしろ言うより、できてるときに(・∀・)イイネ!!

さらに当所独自になりますが、爆発させないとわかってくれない相手のときもあるっちゃあるしイライラ感で人を操作できるっちゃできるんだが、濫用するとゆっくり自滅するっぽい説も伝えておく。
常に穏やかならいいってもんでもない、主張すりゃいいってもんでもない。揺れ動く自分もアリ、揺れ動く相手もまたアリ、みたいなことを平時に伝えて染み込ませておきたいなと思います。

通常の支援と高IQ児

いろんな支援手法があります。その多くが、消去したい言動が出ているときにどうするのかという話に終始してしまっているのは実に残念なことです。

ゲームに負けてイライラしている子に
「そんなにイライラしないで」
「おやつにしよう」
などと諭してる姿を見ますが、望ましくない行動を消去する目的ならあまりにも遠回りだと思います*1

平穏なときに、どう教えても反応が薄い、寝た子を起こすような真似はしたくない、と思う大人の気持ちも当然ですが、意外に効くこともあります。以下のような働きかけを試してみていただけたらと思います。

・勝ち負けを秒単位で繰り返すゲームにはまらせ、負けてもナンダカンダ楽しめていることに気付かせる
・その子のまわりのモヤモヤの言語化や受け取り方調整(思考の悪癖緩和)、お子さんがなにかに共感することによって、ストレス値を下げ、思考メモリに余裕を設ける
・チビッコ時代の死の恐怖によって、執着から強制的に解き放つ

この3本柱をもってすれば、そのうちなんだかんだ整う、に1票。整うから3本柱が実行可能になるという順番なのでは?と問われたら…あー、ぐうの音も出ないんだけど。子育てとか療育教育って因果関係なのか相関関係なのか疑似相関なのかなんて誰にもわかんないから、まぁやってみるしかないんだわ。すまんな。

いずれにせよ、世の中から高圧的な指導や嫌がらせはなくせません。
思考が複雑になりすぎる前にたっっっぷり体験させ、そういうことをせざるを得ない悲しきサピエンスの習性に十字でも切っておくことを忘れずに。ゆめゆめ、理解ある大人でちびっこのまわりを固めてはいけませんよ*2


おばちゃんトークでは

おばちゃんトークでは、お子さんの生活全般、聞き取りします。

きょうだい関係、学校のこと、感覚過敏、ぐるぐる思考や百ゼロ思考など思考のクセ、劣等感など精神的プレッシャー、生活習慣や基礎疾患などなど…。脳に負荷がかかりすぎているなら、その負荷を緩和して脳の負担を減らせないか、方法を考えます。

思考と認識と有事に必要なメモリを確保しないと、受け取ってもらえないですからね。勝ちにこだわるデメリットとメリットを話しても。

関係ないときに話して、知識として認識させておく。こういう習慣は、ゲームに関わらず必要でしょう。

ただ絶対に有効かというと違います。この関わりで得られるのは、脳の余力であり、いざというパニック時には効きません。やらかす頻度を減らすことはできるので、様々な指導が入りやすくはなるのですが、カッとなっているときには、理性ベース、知識ベースのブレーキは効きません。

「長いものに巻かれる力(物理的に強い者、多数派に屈する能力)」
など本能をベースとした言動ブレーキか、本能に一番近い記憶(トラウマ的な記憶、潜在意識的な恐怖・危機感)しか、本当にやばいレベルの衝動を止めてはくれません。


興奮したときに、感情がコップから溢れちゃわないためにもともとコップに入ってる心身のストレスや未消化の感情を減らしておくのは、ケースバイケースでとても有効ではあります。

一般的な療育や支援級の果たそうとしている役割はこれでしょう。

しかしお子さんのイライラのタネがなくなるわけではないのです。どんなに素晴らしい関わりも万能ではありません。お子さん本人と戦略を共有し、お子さんとまわりの受け取り方を確認しながらでなければ、すぐに平和ボケや安心への執着が生まれてしまいます。
「よい仲間、良い環境」
も逆効果となることがあるのです。

心身のストレスの総量を軽減する策によって、ストレスの少ない環境に執着して家から出なくなることはあります。
同一性を保持する傾向が強く出れば「今いる環境」がどんなにブラックでもそこに執着してしまいます。

あ、多動があれば、あとは野となれ山となれで、ポンと飛び出ることできますけどね。ある種の記憶力思考力凸の発達障害児の脳では、そうはいかないです。人に迷惑かけてはいけないと長年聞き続けて原理原則化していますし、達成されないタスクをしつこくリマインドすることによりメモリは圧迫されています。
ある日、メタ認知機能が実装されたとたん、積年のアーカイブが猛毒化します。自分を責める言葉が津波となって、襲ってくるのです。

  1. 高IQの育成戦略は、フェイズにもよりますが、お子さんと共有して試行錯誤することが大切だと思っています。本人も納得したいのです!親御さんだけが納得していても、うまくいきません。

「人生に大事なことのほとんどには答えがないらしい…」
「親(私)の気持ちは複雑でエゴイスティック。すまん。かわいい我が子のためって言っても、ぶっちゃけ自分の老後資金食い潰されるのはかなわんから厳しいことも言うとる。自分自身、気持ちを掌握しきれていない」 
「穏やかに安定してほしいと同時に、逆境や波を乗り越えてほしくもある」
子供からすると親心がそもそも整合性が取れない謎の感情です。こういった生々しく不都合な真実が存在するよ、今理解しようとしても無理なのでドントシンク、ジャストフィールよ、的なアプローチでいいと思ってます。

「今わかろうとするとバグるぞ」
この言葉は逆張り勢はよく考えてかえって早く気付きに到達することもありますし、ゆっくり考える必要がある子は焦らなくていいんだと安心できますので、わりと汎用性が高い言葉です。

親御さんが、綺麗事や思考の結果だけでなく、意図や葛藤など思考プロセスをお子さんに伝えること、考えてもしょーがないことはあるから人事を尽くして天命を待つとか、エイヤッで決めちゃったこととの折り合いの付け方、サンクコストの払い方、といった経験値は、高IQの子にとって大きな財産になります。

お子さん自身が人生のハンドルを握るときにも、発達障害、高IQ、ギフテッド、2Eなどの人とチームを作る立場になったときにも、大変役に立ちます。人生のテーマにもなりうることで、すぐにはうまく行かなくて当然です。子供も大人も、修業中なのです。


続きます。
noudeka.com

*1:抱き締めて云々とかマジクソ。子がハグ好きだからと、イライラしたときにハグで癒やしてあげるのは、好ましくない行動を減らすという目的においては誤学習の宝庫だよ。 その人のことを好きでいさせる効果やハグ好きでいさせる効果はあるから、結果的にプラスに働くことはあるけどね。 「逆に抱き締められるのが嫌な子なら、イライラしてるときに抱きしめたらイライラしなくなりますか」 「羽交い締めされるのは嫌いなので、好ましくない行動をとったら羽交い締めすればやめますか」 って?いやーーーそこ結びつくかなぁ?あんまり結びつかないよね、単に嫌われるよ。分の悪い賭けだよね。 やるなら、ヒィィィ殺される!!!!ってぐらいボコボコにするほうがいいんでは(おい)。

*2:世界は安全だとか、自分の人権はありのままで守られるべきだとか誤解したまま18を迎えた子供は不幸だなとおばちゃんは思います。それこそ親の子育て大失敗だよ。後ろ盾も何もない丸腰ガンジー状態で生きていくことになりますからね。大失敗からしか学べないものもありますけどね。


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